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バショー

空腹人形ネタマンマ

彼がまだ福腹人形コダマンマと呼ばれていた頃、彼は優秀なクリーチャーだった。
彼の能力は、バトルゾーンに出た時シールドを手札に加えること。ただしそのシールドトリガーは使えないのが玉に瑕だ。しかし、彼は2コストと軽量なうえパワーも2000と及第点だった。

シールドとは、プレイヤーを守る盾である。これがなくなることは即ち死に一歩近づくことを意味する。そうして得られる手札はデュエル・マスターズにおいてはしばしば知識の象徴とされる。コダマンマは自らの命を削り、知識を増やして戦ってきた。そこそこ仲の良かったクラスメイトのザビ・クローは1コストで登場できるが、力を貯めることを知らなかった。ザビ・クローは危ないと止めるコダマンマを差し置いてデュエルという名の交差点に飛び出し、ベルリンに突っ込んで死亡した。

だがコダマンマは違った。ザビ・クローほど早くはないが2ターン目にはバトルゾーンに登場し、死ぬほど勉強して知識を増やし、ライバルを蹴散らしてきた。時には赤黒速攻でデュアルショック・ドラゴンを呼び出し、時には黒緑速攻でオチャッピィと手を組んでコントロールデッキを轢き殺した。

思えば彼の初恋はオチャッピィだったのかもしれない。彼はオチャッピィのぽっこりと丸みを帯びたお腹が好きだった。オチャッピィは彼が命を削って手に入れようとした知識を踏みにじり、それを自らの糧とし登場したが、コダマンマはそれが皆を助けることに繋がると知っていた。
そう、彼は孤高の努力家であったが、仲間の大切さも知っていた。だから彼はいつも笑っていた。ほんとは泣いてて、怒ってても、笑って許すコダマンマ。笑うとかわいいコダマンマ。彼は、無事に高校を卒業し、毛太大学に進学した。勉強のしすぎでハゲたからでは決してない。

将来を期待されて大学に入ったコダマンマだったが、命を削って勉強し、仲間と助けあって生きてきた彼にとって、大学の自由さは劇薬だった。彼は無理をして知識を増やさなくても、もはやバトルゾーンに出なくても単位を貰えることに気づいてしまった。かつて強盗のように強引に彼の傍にやってきて鞭打ってくれた友ももう居ない。彼は今ある手札の中に満足して引きこもるようになった。

かつてはあんなに大好きだった食べることも、次第に面倒になっていく。晩飯スティックパン二本→朝飯同二本→昼飯同三本で一日三食をまかなっているうちはまだマシだった。昼過ぎに目が覚めて、お腹が空いてるのに体を起こすのも怠く、夕方まで睡眠によって飢えをごまかし、夜頃に耐え切れなくなってようやくコンビニに向かうも、何を食べたいわけでもなく。
彼のチャームポイントだったぽっこりお腹はみるみる痩せてゆき、アバラが浮き始めた。かつての同級生、ボーンスライムを思い出す…コダマンマの精神もねじれてしまったのだろうか。彼は笑わなくなった。どうせ笑顔を見せる相手もいやしない。そうして彼は、空腹人形ネタマンマになった。



そんな彼に転機が訪れた。デュエルに参加することになったのだ。見ず知らずの39枚の味方とともに久しぶりに窮屈なデッキに押し込まれ、彼は大きく動揺した。が、ヒンズーシャッフルに身を任せるうち、懐かしい高揚感が彼を包み込んだ。彼は空腹だった、そう、刺激に飢えていた。ただそれを積極的に求める行動力を失ってしまっただけだったのだ。
彼は思い出した。「僕はデュエマが大好きだった。」

デュエマ・スタート!
こちらの先攻。ネタマンマは運良く初手に潜り込めた。ロマネスクセットエンド。嫌な予感がする。対する相手は…
懐かしい奴の姿を見た気がした。バカな、奴は事故で死んだはず…だが、あの爪は。目の前に立っているのは、かつての友ザビ・クローの兄、赤く燃える凶戦士、ブレイズ・クローだった…

主のピリリとした緊張感が、指先を通してネタマンマに伝わる。相手は速攻デッキだ。ロマネスクがあることから主のデッキは速度的に不利なように思えた。2ターン目、ネタマンマはすぐにでもバトルゾーンに赴きブレイズクローの殴り返しに備えたかったが、彼の能力はシールドを減らしてしまう。速攻を相手にそれは得策では…

と。気づいた。長い自堕落生活の影響だろうか、ネタマンマのコストは5になっていた。なんということだろう、もうかつてのように素早くバトルゾーンに駆けつけることは出来ない。というか、普通の大学は4マナ溜まったら卒業である。いつのまにやらネタマンマは留年していたようだ。
まぁ学業の事は後で考えよう。ネタマンマはいまや5コストでシールドを減らすカードである。速攻相手に出番はないだろう…しかし、このターン彼はマナには置かれなかった。代わりに置かれたのは超次元ガード・ホール。クソ、このデッキ5cコンだ…!

相手のターン、現れたのは…斬斬人形コダマンマ。こいつは知っている。登場するやいなやネタマンマの居場所を奪い、そして…ああ、そうだ。かつての友デュアルショックよ、君もそいつに奪われてしまったんだったな。
斬斬人形コダマンマは、ネタマンマの親戚だった。斬斬人形はある日宇宙人にさらわれ、得体のしれない改造を施されて火文明となった。使いやすくなったその代償として、彼は笑顔を失った。ああはなりたくないと思っていたが…今の自分はどうだろう。ネタマンマは鏡を見ているようだった。ただし、こちら側に戦友デュアルショックはいない。ブレクロワンパントリガーなし。絶望的だ。

返しのこちらのターン。獰猛なる大地をマナにセットしフェアリー・ミラクル。足りていない色は青、しかし落ちたのは天使と悪魔の墳墓だった。
相手のターン、鬼切丸を追加し3キルの構え。ダブルブレイク、トリガーなし。4枚目でサイレント・スパークがトリガーし、このターンは凌いだ。そして迎えたこちらのターン、マナセットはスペルサイクリカ。今更5色が揃った。5マナをタップして…

「俺はこいつを召喚!」

ネタマンマの体が浮いた。長らく閉じこもっていた手札から、熱気の立ち込めるバトルゾーンへ。ネタマンマは迷わなかった。いくら体が錆び付いていても、あの頃の自分を忘れたことは片時もない。残る1枚のシールドを、手札に…それは。

S・トリガー、ホーガンブラスター。あれ、なんでトリガー使えるんだろう。これがいわゆる放置覚醒というやつか。ネタマンマは召喚酔いの頭でぼんやり考えた。とりあえずこれでワンチャンを見守ろう。

…そうして出てきたのは祝の頂・ウェディングだった。召喚でないのでこれでは戦況は覆らない。万事休すか?
しかしここで主はさっきトップで引いてきたサイスパをシールドゾーンに置いた。なんだ、苦し紛れのイカサマか?対戦相手も不思議そうにしている。主が言った。

「あーこれエメラルーダのプロキシなんでw」

謎が解けた。道理で5コストなわけだよ。そもそも5Cに入ってるのがおかしかったもん。にしても分かりにくすぎないか主よ…

「プロキシ何にしようかなーと思ったらこいつ見つけて。効果似てなくもないし、昔使ってて思い入れのあるカードだったから。」

この時ネタマンマが感動したのか呆れたのか、それは誰にも分からない。けれど、ネタマンマはこの時笑っていた。とてもかわいらしい笑顔だった。おしまい。
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